青空文庫を眺めていると、北大路魯山人が晩年 (1954年) に渡欧した際の感想があった。

僕が料理テストに歩いたところは、米・英・仏・独・伊であって、いずれも肉食国である。ところが、この肉食国に不思議にも日本のような良質の牛肉がないのである。ほとんど問題にならぬ悪質の牛肉が、欧米料理の素材として広く用いられている。

羊肉、馬肉を盛んに食っている。豚は鎌倉に匹敵するよさを持っているが、鶏肉は雛であるから味の鳥としては推奨できない。

出典:フランス料理について

60年の時間の経過と輸送技術の発達を考えれば、ヨーロッパの食材事情は劇的に改善していても良さそうだが、だいたいの指摘は今でもあてはまる。おそらく食の慣習はそう簡単には変わらないからだろう。牛肉は脂身のないほうが好まれてきたようだし、もも肉よりも胸肉を多用する料理には雛鳥のほうが適している。

魚については、海なし国なので一般に入手しづらい。マグロの刺身も売っているが、赤身 1kg で 900 Kc (4500円) とかなり高い。比較的安価なのがタコとタラ。魚屋は Ocean48 チェーンの店舗が数件と Rybárna Šopík がある。刺身は後者のほうが鮮度が良いことが多いように思う。

野菜に関しては、日照時間が限られるためか緑色野菜の種類が少ない。ネギや白菜などは日本で手に入るものとほぼ同じだが、ほうれん草、ニラなどが恋しくなる。春から秋にかけては青空市場が立ち、スーパーで買うより新鮮な野菜類が手に入る。また、郊外のベトナムマーケットに行くと、夏はゴーヤ、冬は里芋が手に入る。